産後動きすぎたことが原因で子宮脱になってしまったのではないか?とその影響が気になっている人は多いと思います。
産後の時期は取り戻せない、だから、なってしまった子宮脱はあきらめるしかないのでしょうか?
今から出来る方法はあるのでしょうか?
それも含めて延べ3万人以上の産後骨盤矯正を行ってきた専門家 バランス工房 代表 兼 日本骨盤臓器脱研究所 代表の岡林秀和が解説します。
子宮脱 出産の影響は?
出産の影響は大きいけれど、それだけではなさそう
子宮脱は出産の影響は大きいといえますが、それだけではなく、産後のいつの時期にどれくらい動いていたか?や妊娠するまでの間の運動量、妊娠してからの運動量などによってかなりの個人差があるとあるといえると思います。
産後動きすぎると子宮脱になりやすい。
産後は骨盤がゆるゆるの状態
出産後は骨盤がユルユルの状態です。なぜかというと・・・
リラキシンという特別なホルモンが妊娠中から産後にかけて出ているからです。
このホルモンがでることで、普段は緩みにくい全身の靱帯や筋肉が緩みます。
妊娠中や産後に、筋肉が柔らかくなっているのを感じませんでしたか?
体重が増えて柔らかくなっているのではなくて(笑)筋肉自体がフワフワした柔らかい感じになってきます。
すると特に骨盤の下側が広がりやすくなります。
これは骨盤を前側からみたイラストです。
↑「恥骨結合」(ちこつけつごう)と書かれているところが骨盤の下側です。
以下は骨盤を底側からみたイラストです。
骨盤の下側が広がってくると、当然、子宮含めてその他の内臓(膀胱など)が出てきやすくなります。
子宮の場合は、上記↑イラストの「尿道と膣」という部分の穴から出てきます。
指で触ると、ぶにょぶにょしている感じです。
妊娠中も産後も、動き過ぎると内臓(子宮や膀胱など)が下がってきやすくなってしまいます。それを子宮下垂、膀胱下垂、内臓下垂といいます。
妊娠中だと、合わせて切迫早産と診断される方も多いです。
(※実際に研究所に相談される方の中でも切迫早産の方はとても多いです。)
妊娠中は、赤ちゃんももちろんいっしょに下がってきますので、それで切迫早産になりやすくなるのです。産後よりもお腹の中に「重み」がありますので余計に子宮脱になりやすいと思います。
日常生活の中で、歩いたり、第1子(一人目のお子さん)を抱っこしたり、動きすぎるとさらに子宮脱になりやすくなるということです。
動き過ぎとはどれくらいの運動量?
では、動き過ぎってどれくらいの運動量なのでしょうか?
なぜ、これを知らないといけないかというと・・・
適切な運動量と思っている常識(考え方)が人によって全く違うからですね。
走ること?洗濯物を干すこと?歩くこと?でしょうか?
これは人によって妊娠前からの運動量や筋肉量が人によって全然違うように、かなりの個人差があると思います。
普段ほとんど歩かず、車移動の方と、スポーツを週に何回もやっている人では、「動き過ぎ」の概念がま~~~ったく変わってきます。
「立ち仕事を長時間やっていた」など仕事の種類によっても変わってきます。
子宮脱になった方で、産後すぐ仕事を始めて、長い時間立って仕事をしていたという話は良く聞きます。
妊娠中~産後にでてくるホルモンの出かたによっても、個人差がかなりありますので、それによっても「動き過ぎ」の程度が変わってきます。
もっというと、産後動きすぎた時期がいつ?なのかによっても変わってきます。
産後の時期いつまで動きすぎない方がいい?
産後の時期いつまで?動きすぎず安静にしておけるといいのでしょうか?
これは昔から日本で言われているように「21日間」と言われています。
この期間を「産後の肥立ち(ひだち)」という人が多いです。
地域によっては、産後約1ヶ月のことをいうこともあるようです。
いずれにしても、産後3週間~4週間は安静にしておけるといいということです。
整体師の観点からだと、骨盤も筋肉もユルユルなので、ある程度安定してくるまで激しい動きや、積極的に動くことは避けて、
産後の肥立ち期間は、出来るかぎり旦那さんやおばあさん(お母さん)に手伝ってもらいましょうということになります。
医学的な観点だと、おそらく出産で消耗した体力(精神的なストレスや不安も含む)などを回復する期間、ということができるのではないかと思います。
子宮脱になる理由は、産後の動き過ぎだけではない
といっても子宮脱になる理由は産後の動き過ぎだけではありません。
それに「産後働き過ぎたり、動きすぎなければよかった」といっても、いまさら取り戻すことはできません。
では、これからできることに目を向ける必要があります。
そのためにはまず子宮脱になる大きな原因を知っておくことが大切かもしれません。
子宮脱になる出産以外の大きな3つの原因
腹圧(ふくあつ)が高くなることをしている
腹圧とは、お腹の中の圧(あつ)です。
わかりやすくいうと、出産でいきんでいる状態が腹圧が高くなる状態です。
そうすると、子宮も下側の出口である膣から飛び出しやすくなってしまいます。
1,便秘:便秘になるとトイレでいきむことが増えますよね。すると腹圧が高まり、子宮がいっしょに押し出されやすくなります。
2,肥満(太った・体重が増えた):かなりの肥満になると、自身の体重でお腹を圧迫することでお腹の圧が高くなってしまいます。
3,ストレスが強い:ストレスが強くなると、お腹や季肋部(きろくぶ)や横隔膜(おうかくまく)が固くなってしまい腹圧が高くなります。
詳しくは、自分で行う子宮脱(性器脱 膣脱)5つの予防法でご覧頂けます。
骨盤底筋(こつばんていきん)の衰え
骨盤底筋が衰えてしまうと、腹圧が高まったとき、おなかの中のものが簡単に押し出されてしまいます。
↑赤の部分が骨盤底筋(こつばんていきん)です。
わかりやすいイメージで言うと、お腹が痛くなって便が出そうになったとき、我慢することができずに便漏れを起こしてしまう状態かと思います。
出口である蛇口をしっかりキュッと締めることができればいくら腹圧が高くなっても、中のものが飛び出さないように抑えることができます。
骨盤底筋体操(骨盤底筋運動トレーニング)について詳しくはこちらでご覧頂けます。
血流
血流が悪くなると、お腹周りが硬くなることで腹圧が高まります。
また、冷え性になることで、ますますお腹周りや子宮、骨盤底筋などがうまく機能しづらくなるという悪循環が起こりやすくなってしまいます。
血流をよくすることは何よりも大切と言えます。
ちなみに、ストレスが強すぎても血流が悪くなります。
「ストレス対策」についてはこちらのページのストレスをコントロールという項目が参考になるかと思います。
子宮脱 応急処置は?
子宮脱の応急処置は、自分の指で押し込むというのが一番簡単にできる方法と思います。
子宮脱の応急処置について、詳しくはこちらでご覧いただけます。
子宮脱を良くする方法
では、すでになってしまった子宮脱を良くする方法はあるのでしょうか?
今すぐ自分でできる良くする方法についてまとめてみました。
子宮脱体操
子宮脱を良くする体操は、骨盤底筋体操(骨盤臓器脱体操)です。
子宮脱を良くする骨盤臓器脱体操についての詳細はこちらでご覧頂けます。
子宮脱用の漢方
子宮脱に効く漢方があると聞いたのですがどんなものですか?
今あるものは生薬をいくつか数種類合わせたものを処方されているクリニックや漢方のお店があるようです。
漢方を飲めばたちまち良くなるということは考えられにくですが、適切なものを身体に摂取できれば、血流がよくなることは間違いが無いと思います。
実際にやってみてよかった!という漢方の情報が入りましたら紹介させていただければと思います。
自分にとってよい漢方であるかどうかは、飲んで身体がポカポカして「気持ちいい」など「前向きになる」など心地よさを身体が感じる物かどうかで判断できると良いと思います。
子宮脱を防止する日常生活
上記の「子宮脱になる出産以外の大きな3つの原因」の項目で説明しましたが
何と言っても、
1,腹圧をできる限りかけないこと
2,骨盤底筋を鍛えること
3,血流をよくすること
この3点に尽きると思います。
具体的は方法は、上記文中に、それぞれ青文字でリンクを張っていますのでご覧頂いて、ご自身でできる範囲で続けられそうなものを試してみてくださいね。
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