TVM(ティーブイエム)手術とは?
「TVM」(ティーブイエム)とは、「Tension-free Vaginal Mesh:テンションフリーヴァージナルメッシュ」=つまり「テンションフリーの膣メッシュ」という意味です。
「テンションフリーの膣メッシュ」を使った手術がTVM手術です。
前腟壁脱に対するA-TVM、ならびに後腟壁脱に対するP-TVMが基本となります。
TVM手術後の看護の内容
外来受診から入院までの看護
問診、内診、診察、検査
尿流測定、鎖尿道膀胱造影、残尿測定、骨盤腔MRI、尿流動態検査、パッドテストなどを施行します。
内診時は、陰部の露出が最小限となるように配慮し、適宜、声かけを行います。
尿意に関連した検査が多いので、尿を出しきった直後や、尿を溜めて行う場合など、その時々のタイミングに合わせることが必要です。
入院から手術までの看護
問診票を元に、現病歴、既往歴、症状などを個人のプライバシーに配慮しながら情報収集を行います。
抗凝固薬の内服薬および中止薬、禁忌事項、アレルギーなどは医師と薬剤師に報告します。
クリニカルパス(入院診療計画書)などを使用し、入院から退院までの治療経過や検査の流れについて説明を行います。
不安や疑問を表出しやすい環境作りをします。
手術直後の看護
痛みのコントロール
創部痛や、手術中の体位に伴う臀部(おしりの辺り)、腰部、大腿部痛(ふとももの痛み)などがある場合は、クッションなどで体位の調整をします。
痛みは我慢せず、伝えるよう説明し、状況を見ながら鎮痛剤を使用します。
カテーテルの固定
不穏時や体動時に、尿留置カテーテルが抜けないように固定を行います。
肺血栓塞栓症の予防
間欠型空気圧式マッサージ器の装着を行います。
手術後1日目以降の看護
創出血の確認
出血が持続している場合、医師に報告します。
痛みのコントロール
創部痛や手術中の体位に伴う臀部(おしりの辺り)、腰部、大腿部痛(ふとももの痛み)などがある場合は、クッションなどで体位の調整をします。
痛みは我慢せず、伝えるよう説明し、状況を見ながら鎮痛剤を使用します。
早期 離床(そうき りしょう)
肺血栓塞栓症を発症する危険性が高いので、初回歩行時はバイタルサイン(vital signsは、生命兆候の意味)、胸部症状、歩行状態の観察を慎重に行います。
特に異常がなければ徐々にADL(日常生活動作)を拡大していきます。
排尿状態の確認
血尿が見られる場合は、医師に報告します。
尿留置カテーテル抜去後、 自排尿と残尿の量を確認します。
残尿量が多い場合、導尿を一時的に施行します。
排便状態の確認
怒責(いきんで肛門を自ら開くこと)、腹圧上昇が起こり、メッシュがずれる危険性があるため、食事指導、水 分摂取、緩下剤の内服を適宜行います。
※ ナースハッピーライフ様 https://www.nurse-happylife.com/13276/を元に引用させていただいています。
TVM手術の看護期間
入院日数は、5日~10日ほどの病院が多い。
「入院日数」は、5日~10日ほどのところが多いですので、「看護期間」は、「入院期間」に応じて5日~10日ほどとなります。
TVM手術で使う麻酔の種類は?
麻酔の種類は、2種類で、局所麻酔(脊椎麻酔)か全身麻酔。
TVM手術は、どちらかちうと脊椎麻酔(腰椎麻酔ということが多いです)で行うケースが多いようです。
脊椎麻酔は、下半身の手術をする際に使用されます。
病院の先生が、TVM手術を選択する基準は?
骨盤臓器脱のQOL(キューオーエル)と、リスク&ベネフィット
「QOL」とは生活の質のこと。
「リスク」とは危険性のこと。
「ベネフィット」とは、メリットのことを指します。
骨盤臓器脱は、不快な症状を伴いますが、重症例以外は、命にかかわることの少ないものです。
たとえば、これが悪性腫瘍であれば、「治療しない」ということは悪性腫瘍による症状悪化の確率がかなり高くなり、選択の余地はそれほどありません。
しかし、骨盤臓器脱の治療を受けるかどうかは、その状態がどれだけ生活の質(QOL)を脅かしているかが重要です(こういう病気をQOL疾患といいます)。
手術にしても、ペッサリーにしても、行うことで、好ましくない合併症(おこりうる好ましくないできごと)は一定の割合で起こりえます。
そのリスクを考慮しても、なお治療をすることのメリット(ベネフィット)が「勝る」と考えられるときに、治療を選択されることがのぞましいといえます。
別の言葉でいうと、どれだけ「現状にがまんできないか?」で、治療するかどうかの判断がされることが多いのです。
手術の費用は?
入院する日数、70歳以上か70歳未満や保険の割合によって値段は変わりますが、3割負担の場合は、約20万円~くらいが一番多いパターンのようです。
TVM手術の実績が多い病院・先生は?
骨盤臓器脱手術の、新しい術式であるTVM手術で日本の第一人者と呼ばれているのは、昭和大学横浜市北部病院泌尿器科教授 島田 誠先生と呼ばれていたり、
TVM手術実績数で大権威の先生(日本での先駆者とも先生)は、医療法人東和会 第一東和会病院(大阪府)竹山 政美(たけやま まさみ)先生と言われていたりもします。
失敗のリスクや合併症は?
手術ですので、もちろんリスクや合併症があります。
どんなものがあるのかというと・・・
出血・輸血
手術に伴う出血です。出血が大量の場合は輸血が必要になることもあります。
他の臓器の損傷
手術時に、膀胱や直腸などを傷つけてしまうリスクがあります。
疼痛
疼痛とは、痛みのことです。
手術後すぐの痛みもあれば、手術後に長期間継続する痛みの2種類があります。
遅れてでてくる痛みのことを「遅発性(ちはつせい)の疼痛」と言います。
メッシュビラン
メッシュが膀胱内や直腸内または膣からでてきてしまうことをいいます。
多くの場合は、痛みが伴います。
感染症
手術時の傷口から感染症にかかってしまう可能性があります。
尿閉・残尿増加
尿閉とは、尿がでない状態です。また膀胱内に残っている尿の量が増えることがあります。
尿漏れ
医学用語で、尿失禁(にょうしっきん)ともいわれますが、手術後に尿が漏れてしまうようになったり、元々あった尿漏れが悪化したりすることがあります。
再発
手術したにもかかわらずまた同じ症状がでてしまうことをいいます。
性交障害
性交するのに障害(違和感や痛みなど)がでてしまうことがあります。
遅発性の痛み
手術直後ではなく、遅れて痛みがでてくることをいいます。
TVM(ティーブイエム)手術のメリット・デメリットは?
メリット2つ
「手術時間が短い(1時間~1時間30分)」・「再発が少ない」
※ ご高齢で(およそ70歳以上)、性交渉があまりない方が対象になることが多い。
TVM手術が向いている人(4つの特徴)
1、心臓などに持病があり、長時間の手術に不安がある場合など。
2、もともとそれほど活動性の高いほうではなく、術後の安静が守れるケース。
3、セックスの頻度が低い
4、子宮脱はなく、膀胱が主に脱出していて排尿障害が強い
デメリット2つ
「術後の性交痛が出現することがある」・「約3ヶ月ほど、比較的安静が必要」
※ 比較的若年で、(およそ60歳以下)、肥満がなく、性交渉のある方
手術を受ける適正年齢は?
およそ70歳以上で、性交渉があまりない方が対象になることが多いですので、
70歳以上か、未満か、が一つの判断目安になっているようです。
手術の後、どうなる?
TVM(ティーブイエム)手術の後どんな経過をたどることが多いのでしょうか?
合併症(手術後に起こる望ましくない症状)が起こる方もいらっしゃれば、ほとんど合併症が出なかったという人もいるかと思います。
手術担当の執刀医の先生、麻酔の先生などの技術によって、合併症がでるか?でないか?の差は当然出てくると思います。
手術後に、約3ヶ月ほど安静にしていれば痛みがほぼ消え症状も治り生活の質が向上していれば、手術は成功といえるのではないかと思います。
ですが、もし3ヶ月経っても、痛みが続いたり、メッシュびらん、出血、尿漏れ、尿閉など症状が出てくるケースもあるようですので、手術後に起こる可能性のあるリスクや合併症の確率についてや、担当の先生のTVM手術の実績数などについて、しっかり確認して、十分理解した上で判断していただけるとよいかと思います。
一つのご参考にしてみてくださいね。