子宮脱 手術で使う麻酔の種類 リスク【まとめ】
子宮脱の手術では、原則、麻酔を使います。
麻酔の種類は、全身麻酔(ぜんしん ますい)または局所麻酔【脊椎麻酔(せきつい ますい)】です。
局所麻酔の中でも、脊椎麻酔(せきつい ますい)は、【腰椎麻酔(ようつい ますい)】とも呼ばれます。
脊椎(首から背骨・腰までの部分ですね)の中でも、腰に注射することが多いことからですね。
主に下半身の手術の麻酔に使われるのが、脊椎麻酔です。
麻酔効果が現れる時間
麻痺効果が現れてくるのは、2分以内と言われています。
細い神経から順に、麻酔が効いていきます。
麻酔の効果は?
麻酔で、得られる主な効果は
1,「無痛」(むつう)
2,「筋 弛緩」(きん しかん)【身体の反射を起こさない】
3,「血管 拡張」(けっかん かくちょう)
4,「腸運動 亢進」(ちょううんどう こうしん)
5,「発汗 停止」(はっかん ていし)
です。
麻酔されたとき、どんな感じ?
わたし自身、腰椎麻酔を受けたことがないため、どんな感覚かわからないのですが、実際に受けた方の感想を聞くと、「それほど痛くなかった」「結構痛く感じた」など様々です。
これは、やはり麻酔をする先生の「技術」と「痛みを感じる受ける方の感度」によってかなり変わってくるのではないかと思います。
歯医者さんで、歯ぐきに、麻酔を受けたことがある人は多いと思いますが、歯の麻酔も、上手な先生と、そうでない先生でかなり差があるような気がします。(もしくは、刺さる場所によって、痛いときと、痛くないときがあるのかもしれません)
先日、歯の治療で麻酔を受けたのですが、全然痛くありませんでした。「麻酔を打たれるときの痛み」と「歯を削る治療のときの痛み」両方痛いときもあれば、「麻酔をするときの方が痛い」と感じたことも、過去にありました。歯の場合は、神経に針があたると、痛みを感じるのではないかと思います。
ですので、まとめると、「個人差」と「先生の腕」または「運」によるのではないかと思います。
いずれにしても、しっかり麻酔が効いていないと、手術のときに激痛だったというのは困りますから、不安なことはしっかりすべて聞いてから、麻酔を受けられるとよいと思います。
麻酔は、身体に良い?悪い?
麻酔は、痛みを感じなくすることで、記憶にも痛みを残さず、身体がストレスを感じないようにしてくれるので、痛みの強い手術にはメリットの方が大きいといえると思います。
子宮脱の手術の場合、もし、麻酔をせずに手術をしたとしたら、激痛で耐えられないかと思います。
ただ、麻酔にも非常に少ないながらリスクもあります。
代表的なものは、「違和感」、「アレルギー」、「神経障害」です。
まとめると、麻酔は、適切な量をただしく使用すれば、きわめて安全なものでメリットの方が大きいといえると思います。
全身麻酔 2種類
吸入麻酔法
注射に抵抗があるお子さんや、パニック状態の場合には、吸うだけで麻酔がかかる吸入麻酔法が選ばれます。
代表的な麻酔ガスは、セボフルランやイソフルランというもので、軽く鼻を突くような臭いがします。
静脈麻酔法
麻酔薬を点滴に注入して数秒で意識を取り除きます。
代表的な静脈麻酔薬は、ディプリバンといいます。年齢や体重から、薬の血中濃度を予測して、投薬量を決定できる専用器で注入されます。
全身麻酔 4つのメリット
手術のような痛みを伴う大きな刺激やストレスを受けても、無意識で、無痛、体も動かない、そして何よりも記憶に残らず、手術をスムーズに行えます。
4つのメリットがあると言われます。
- 無痛(痛みが無い)
- 健忘(記憶に残らない)
- 無意識(意識がない)
- 不動(うごかない)
全身麻酔のデメリット【合併症の発症】
【全身麻酔の軽い合併症】
一番発生頻度が高い合併症は、喉の痛み、声のかすれ、頭痛、吐き気、めまい、腰痛、眼の違和感、震えなどです。
喉や声の異常、頭痛、吐き気、めまい
麻酔中に、口から挿入される細い管が、声帯や喉に炎症を起こし、術後に「喉の痛み」や「声のかすれ」が起こります。
「頭痛」、「吐き気」、「めまい」は、麻酔薬や、手術そのものが原因で起こります。
腰痛
手術中は長い時間動けず同じ姿勢を取り続けなければならず起こります。
麻酔から目覚めると、腰痛を自覚することが多いみたいです。
目の違和感
全身麻酔と、目の違和感には、深い関係があります。
全身麻酔中は体を動かさないだけではなく、まばたきも一切しません。
半開きのまぶたで麻酔にかかってしまった場合に、角膜が乾燥して、麻酔から目覚めたときに目がコロコロして違和感を感じることがあります。
身体の震え
ほぼ裸の状態で手術を受ける上に、全身麻酔薬の作用で体温を保つ作用が低下し、出血や水分の蒸発で、体温が低下してしまいます。
全身麻酔から目覚めたとき、脳もその低体温を感知し、筋肉を震わせて、体温を上昇させます。
その結果、しばらく体がブルブル震えて止まらなくなることがあるようです。
【全身麻酔の中等度の合併症】
抜けた歯が気管に入ってしまう事があります。手術前に、麻酔科医に知らせましょう。
多くは、ほぼ一過性で完全に回復する合併症です。
歯の損傷
人工呼吸を補助する細い管を口から気管に挿入するときに、歯を損傷することがあります。
もし、すでにぐらついている歯があれば、麻酔科医にあらかじめ伝えましょう。
全身麻酔中または麻酔が覚めた直後にぼーっとしている時、歯が抜け落ちると、誤って気管に入ってしまって、重症肺炎を引き起こすことがあります。
アレルギー
普段の生活で、触れることのない物質に対して、アレルギーをおこす可能性があります。
手術では、手術器具や手袋、チューブや、麻酔薬・抗生物質などの薬が使用されます。
血圧の上昇と低血圧
手術の出血量に応じて血圧は低下します。
逆に、反射的に高血圧や低血圧を引き起こすこともあります。
神経障害
神経障害は、体を動かさないことによって起こる手足のしびれや麻痺のことです。
手術中に、神経が圧迫されたりして起こりますが、通常は、数日から数週間で戻ります。
【全身麻酔の重度の合併症】
全身麻酔の最も重症な合併症は、脳障害、心臓停止、死亡です。
脳障害
脳に障害が残ってしまうケースです。
心臓停止
心臓が止まってしまうケースです。
死亡
麻酔による死亡発症頻度は、22万人に1例と極めて少ないです。【日本麻酔科学会が行った1999~2001年度麻酔関連偶発症例調査結果】
特別な持病があり、例えば遺伝的に麻酔薬にアレルギーがあった場合など、極めてまれな不運が重なった場合にのみ起きると考えてよいでしょう。命にかかわる麻酔薬に対するアレルギー反応で高熱が出る悪性高熱症は5万人に1人、心臓停止に直結する、血の塊が肺血管を閉塞する肺塞栓症は10万人に3人です。
重度の合併症は、非常にまれです。
全身麻酔で死亡する確率
麻酔専門医が、適切な管理下で全身麻酔を行えば、麻酔は極めて安全です。
「麻酔は怖い」「麻酔から目が覚めなかったらどうしよう」と心配される方も多いですが、麻酔の副作用はほとんどが軽く微少で、一過性のものであり、手術後に48時間以内には、ほぼ解決します。
局所麻酔 2種類
局所麻酔には、2種類有ります。
伝達麻酔
「伝達麻酔(神経の近くに注射)」は、脊髄神経や太い神経の近くまで針をすすめ、局所麻酔薬を注入します。
伝達麻酔には、腰から注射する【脊椎麻酔(せきついますい)=虫垂炎などで受けた方が多い】や、硬膜外麻酔(こうまくがいますい)、脇から注射する腕神経叢(わんしんけいそう)ブロックなどがあります。
また、硬膜外麻酔は、手術中・術後の痛み止めとして活躍したり、無痛分娩に適応します。腕や手首の傷では脇から注射する腕神経叢ブロックでを使用します。
表面麻酔、浸潤麻酔
局所麻酔薬をスプレーで噴霧したり、注射することで麻酔する「表面麻酔(スプレー)」や「浸潤麻酔(注射)」があります。
たとえば、胃カメラや大腸ファイバーでは、のどや肛門を表面麻酔することでストレスが少なく、手技が受けられます。抜歯や、小さな傷を縫う時には、浸潤麻酔が行われ、無痛治療ができます。
局所麻酔の3つのメリット
1、意識がある
2、全身に及ぼす影響が少ない
3、麻酔に必要な機器が少ない、全身麻酔より安価
意識があって、全身に影響する薬を使用しないため、呼吸や循環が安定します。
また、使用される局所麻酔薬はアレルギーが少なく、安全性が高いです。
料金:2時間以内の全身麻酔が61,000円~、脊椎麻酔では、8,500円と安価!
局所麻酔のデメリット(合併症)
局所麻酔の副作用と合併症のリスク
1、意識がある(少し怖い!?)
2、麻酔の効果が不確実
3、幼児はできない
4、まれに重篤な合併症が発生
局所麻酔は意識があるから、安全性が高いともいえますが、一方で聞こえてくる手術機器の音が気になったり、手術中の記憶ストレスを残してしまうことも。
意識があるのだから合併症は少ないのでは?と思いがちですが、鎮静剤を併用した局所麻酔は、まれに呼吸不全から心臓停止にいたる重篤な合併症を引き起こします。
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