※ 2018年1月11日 加筆修正。
骨盤臓器脱 手術 失敗例や合併症について【まとめ】
骨盤臓器脱 手術の何をもって「手術失敗」と判断するのは大変難しい所ではありますが、手術が成功してほしいと願うのは患者様全員が願う訳です。手術後に想像していなかった合併症が起こってしまったという事例はたくさんあると思います。あなた様には、「まさかこんなはずではなかった」ということがないようにしていただきたいと思います。
意を決して、手術したのに、「股の間の違和感が消えない」など、これは手術前と手術後で感覚が同じだった場合は手術が成功とはいえないと思います。何も変わらなかったとしたら、手術後の痛みなどには多少耐える必要があるでしょうから、むしろ失敗に近いかもしれません。
骨盤臓器脱手術が失敗したからといって、命を落とすような事例は、現時点ではわたしは発見していませんが、合併症(手術後の良くない症状がでてくること)や、手術をしたあとでも内臓が下がってきている感覚がするという方は、たくさんいらっしゃるような気がしています。
なぜかというと、内臓が下がってきているのだから、「取り去る(子宮全摘など)」や「メッシュなどで引っ張り上げる」という形は、合理的なようでいて、根本的な解決にはどうしても至らない気がしてしまうのです。
子宮を全摘したとしても、膣壁はあるでしょうし、身体の中の内臓をすべて取り去るわけにはいきません。といいうことは、骨盤底筋が衰えて骨盤の下側が広がって起こっている症状なのだとしたら、それを解決しない限り、手術して子宮は全摘したけれども、また他の臓器(膣壁、膀胱、直腸などなど)が下りてきて股の間に何かが挟まっているような違和感がでてくる可能性が大きいのではないかと思うのです。
個人的なブログなどで、「私は骨盤臓器脱の手術を失敗されました」というコメントが入っているのを見つけたことは今のところありませんが、手術後でも股の間に違和感が出ている、尿漏れがでてくるようになった、尿が出なくなった、メッシュが出てきてしまった(メッシュびらん)、など実際に報告されています。
以下は参考情報です。手術担当の先生に、まさか「手術を失敗した件数は何人ですか?」と直接聞くわけにはいかないと思いますが、今までの手術実績数(あくまであなた様が受ける手術の種類で実績が何件あるか?確認できると良いと思います。例:(TVM手術(メッシュ手術)や、LSC手術(腹腔鏡下 膣仙骨 固定術)で先生は何件の実績がありますか?)とその後の合併症の発症の確率を症状毎にしっかり公表してもらえるところは、一つ安心材料の目安になるかと思います。
100%失敗しない・合併症が出ないという手術は、どのような名医の先生でも存在しないかと思いますが、できる限り失敗の確率の少ない名医の先生を選ぶのは、とても大切と思います。実力不足で、「少し間違っちゃいました」では済まされませんので。
もし、骨盤臓器脱手術を失敗したまたは合併症がひどいという方は、日本骨盤臓器脱研究所でもどんなケースがあるのか?情報を収集したいと思っておりますので、いつでもご意見お送り頂けましたら幸いです。
骨盤臓器脱 手術後 合併症(失敗!?)の事例
腟式子宮全摘 前後 腟壁 形成術 8ヶ月後でも座れないほど痛み。
60歳 女性。子宮脱で腟式子宮全摘、前後 腟壁 形成術を受けた方。現在、手術後8カ月。
12日後に退院、2週間後に経過を診てもらった。
外部の糸は取ってもらったが、「内部の糸がとけるのを待ちましょう」と言われた。
最初から、陰部の縫った所が痛み、現在も痛くて椅子やソファに座ることができません。
今は、午後から夕方にかけて、陰部がべたべた、湿っぽい感じがし、パンツにくっついたりして、さらに痛いです。おりものというほどではないのですが、少し色がつく程度のものが出ますので、薄いパッドを使用しています。
陰部、およびその周りが膨らんでいるためパンツがすれて痛いのと、おじぎ姿勢をすると陰部周辺に違和感があります。
日常生活は1万歩を目標に歩いています。ただ痛くて座ることができないので、自分用に円座を改良して座っています。正座も陰部を浮かして座れますが、長くは持ちません。
2年前にぎっくり腰になり、その後、坐骨神経痛になり、さらにその後、子宮脱になって手術を受けることとなりました。坐骨神経痛は少し治まっています。双子を出産し、鉗子分娩を経験しています。
前後 腟壁 形成術は、何回でもできるものなのでしょうか?このまま、この病院で診てもらっていてもいいのか、あるいは他の病院で診てもらったほうがいいのでしょうか?
膀胱下垂 手術 退院後から1年 尿漏れ
65歳女性。下の方に何か下がった感じがして、泌尿器科に受診したところ、膀胱下垂と言われ、1年前に手術。
腟の方から縫い縮める手術ということで、おなかは切りませんでした。
入院中は何ともなかったのですが、退院してから歩くと尿がもれるのに気づきました。せきや、くしゃみでもひどくもれます。びっくりして病院の先生に言ったら、「尿道や腟の回りの筋肉を締める運動をしなさい」と言われ、一生懸命やりましたが変わりません。ポラキスをずっと飲んでいますが、これも目に見えての効果はありません。
手術後に尿もれが始まったのがどうにも納得いかず、今の病院にこのまま通院していても治らないのではないか、これから一生、歩くだけでもれ、1日中尿取りパッドを当てていなければならないのかと思い悩んで、気持ちがふさいでいます。
子宮脱 腟式の子宮摘出手術後 腟内にヘルニア
58歳 女性。3人の子持ちです。1人目を吸引分娩後、子宮下垂になり、タンポンを使用しても押し出されてしまうようになる。年子で2人目を出産後、子宮脱となる。3人目出産後、慢性的な子宮脱となり、無理をすると時々擦れたところから出血するように。
出産した所とは別の個人病院で、もう3人もいることだしということで、41歳で腟式の子宮摘出手術を受け、腟も処女のように狭くしてくれたとのこと。その後、腟内にヘルニアのようなものが出てきてしまい、摘出した医師に紹介された病院で、2度も手術しましたが完治していません。
先日、旅先で長時間立位でいたため、とび出ている部分がピンポン玉のように腫れあがってしまい、大学病院を受診したところ、「化膿菌が入ってしまった」とのこと。「その時に入り口部分を狭くすることはあるけど、奥までこんなに狭くすることはない」、と医師に言われました。
尿もれより腟ヘルニアの方が悩みのタネです。年齢的にも経済的にも、もう手術はこりごりです。
骨盤内臓器脱 メッシュ修復術(TVM手術)後の合併症まとめ
出血
メッシュを固定させる時に骨盤の裏側を通る血管から出血するケース。皮下出血として手術創の周辺に見られる場合があります。
疼痛(とうつう)=痛み
左右の大腿部(太もも)の内側・後壁も補強した場合は、殿部(おしり)にまた手術の姿勢による股関節の痛みが起こるケースがあります。通常は、手術後、数週間で消失。
膣部びらん
手術後3~6ヵ月後に腟壁の手術創にびらんがに起こるケース。
当初、約5%から10%とされていましたが、最近は減少して1%前後に。メッシュが腟壁から露出することも。感染症が起こった場合には、メッシュを摘除する必要があります。
膀胱側へのメッシュ露出
手術で、膀胱と腟壁の間に設置したメッシュが膀胱のごく近い層に設置された場合に、膀胱内にメッシュの一部が露出してしまうことがあります。もともと腟壁が薄く、弱くなっているために起こる合併症。
メッシュを摘除しなければならない場合も有り。
尿漏れ
尿失禁ともいいます。せきや、くしゃみで尿が漏れる状態(腹圧性の尿失禁)。膀胱脱の排尿障害のためにかくれていることがあります。この場合臓器脱を修復すると、腹圧性の尿失禁が出現することがあるそう。
膀胱・直腸・周囲臓器損傷
膣粘膜を切開したり、剥離操作(はがす行為)の際に癒着など影響が強い場合などに膀胱や直腸や周囲臓器を損傷する可能性があるようです。
子宮を摘出する従来法による脱の手術の場合には、約10数%おこるといわれています。手術後日数が経過して判明する場合もあり。直腸の損傷が後日判明した場合には外科での対応となり、そのさい人工肛門を造設される場合もあるとのこと。
遅発性の痛み
メッシュの周囲で、過剰な収縮が生じるとそのために組織のひきつれをおこして、臀部の違和感・痛みなどを生じる場合があるといわれています。
病院毎の手術後 合併症の確率
名鉄病院
名鉄病院で、腹腔鏡手術を受けた323人では、術後に排尿困難になった人は0人だった。
一方、膣壁を切る方法では手術後、排尿困難になった人が5%いた。
成島(なるしま)雅博 副院長(泌尿器科)談「膣からメッシュを入れるよりも、尿管を傷つけるリスクが小さい」とのこと。
腹腔鏡での手術は膣壁を切らない分、メッシュが「壁を突き破る」リスクは少ないと考えられているが、長期的なデータはまだない。
2012年から腹腔鏡での手術を始めた日本医科大の明楽(あきら)重夫 教授(産婦人科)によると「直腸と膣の間の組織は特に薄く、腹腔鏡でもメッシュが出てしまう可能性はあり注意が必要だ。また、骨盤の底は血管や神経が集まっている。内視鏡の高い操作技術が求められる」とのこと。