骨盤臓器脱 メッシュ手術 種類

骨盤臓器脱 メッシュ手術 種類

化学的に合成された「メッシュ」は、身体の中で分解・吸収されずに残り、骨盤臓器の支持組織を補強します。

※この記事は、加筆修正できると、さらにわかりやすくなる可能性があります。2018.1.27

骨盤臓器脱 メッシュ手術の種類【時系列毎】3種類

骨盤臓器脱には、実はたくさんの種類の手術方法があります。

できた時系列毎に、「古い方法」(従来法)から「最新方法」まで、大きく分けると、3つです。

①従来法=昔からある方法:メッシュ不使用

① (前・後)腟壁 形成術
② 経腟的 子宮 仙棘靱帯 固定術
③ マンチェスター手術
④ 膣 閉鎖術(ル・フォール手術)

②現行!?法=TVM手術:メッシュを使用

もっとも多く実績があり、現在行われている手術方法といえます。

③最新方法=LSC術:メッシュを使用(腹腔鏡にて行う仙骨腟固定術)

最新の方法で、腹腔鏡を使った手術方法です。

LSCメッシュ手術
↑引用:順天堂東京江東高齢者医療センター様
http://www.juntendo.gmc.ac.jp/
clinic/gynecology/kotsubanzoukidatsu_op.html

子宮体部ー子宮頸部
↑引用:順天堂東京江東高齢者医療センター様
http://www.juntendo.gmc.ac.jp/
clinic/gynecology/kotsubanzoukidatsu_op.html

↑子宮体部を切除し、子宮頚部をメッシュで腰椎(仙骨)の骨膜に縫い付けて、吊り上げる手術です。

子宮がない場合は、腟壁を吊り上げます。

 

腟からメッシュを挿入する方法と比べると手術時間が長くなりますが、メッシュ露出のリスクが低く性交渉も可能、と言われています。比較的若い方に行われます。

 

腹腔鏡によるメッシュ手術は、2012年から一部の施設で先進医療として行われていましたが、2014年4月から保険適応になりました。

補足:仙骨 子宮靭帯 固定術 Shull法 メッシュを使用しない腹腔鏡を使った手術)
子宮を全摘し、腟断端を子宮周囲の靭帯に縫い付けて吊り上げる方法。溶けない糸を使用し、永久的な固定を目指します。膀胱瘤・直腸瘤が軽度で子宮脱がメインの中等症例に有効です。

使用するメッシュの【種類毎】2種類

子宮脱(性器脱)に使用するメッシュ、膀胱脱(膀胱瘤)に使用するメッシュ、直腸脱(直腸瘤)に使用するメッシュは、それぞれ「形」が違います

 

「症状」や、「病院」によって,「メッシュ自体の素材」「メッシュの形」も変わってくるようです。

いろんなメッシュの種類
従来のProlift時代のメッシュ(TVM原型アーム)

Prolift時代のメッシュ
従来のProlift時代のメッシュ(TVM原型アーム):四谷メディカルキューブ様より引用

従来のメッシュ
↑引用:順天堂東京江東高齢者医療センター様

近年のminimal mesh(TVMアーム)

現在のメッシュ
近年のminimal mesh(TVMアーム):四谷メディカルキューブ様より引用

近年のメッシュ
↑引用:順天堂東京江東高齢者医療センター様

Polyform

四谷メディカルキューブ様より説明引用: 個々の患者さんの状態にあわせて、近年欧米で主流の小さなメッシュを使用するタイプの経腟ミニマルメッシュ手術(改良型TVM手術)行っています。

小さなメッシュを使用することで、頻度は大変少ないですが、メッシュに伴う合併症を極力減らそうとしています。

手術時間は、臓器脱のタイプによって異なります。

当院での全てのタイプでの手術時間の平均は52分で、一番多い膀胱や、子宮がメインで下垂するタイプ手術時間30分前後と短く侵襲は小さいと考えられます。

 

実際の手術では、麻酔をかける時間、手術開始前の準備の時間、麻酔を覚ます時間や、症例によっては腹圧性尿失禁に対するTVT手術も同時に行うことがありますので、手術室に1-2時間滞在することが多いです。

 

経腟ミニマルメッシュ手術(改良型TVM手術)のキズは脱のタイプにもよりますが、多くの患者さんで腟内と、肛門の付近のおしりに左右一つずつ約7mmのキズのみで大変目立ちにくいです。

 

お腹は切らないためお腹にキズはできません。おしりの2ヶ所の7mmのキズを避けたい方は、手術時間が若干長くなりますが、特別な器械を使用することでキズを腟内のみにすることも可能です。

メッシュを【敷く位置】で3種類

TVM手術2種類
引用:秋田大学大学院医学系研究科 腎泌尿器科学講座様
http://www.med.akita-u.ac.jp/
~hinyoki/general/diseasetreatment/pop.html

 

膣壁では、膀胱の間 (TVM-A手術)、膣壁では、直腸との間(TVM-P手術)にすきまを作って、メッシュを膣壁の下におき、その一部を骨盤内の強固な部位に通してメッシュの位置がずれないようにします。

メッシュは膣の壁の一部となって、強固な支えの役割を果たします。

TVM-A手術(膣と膀胱の間)「膀胱瘤」の場合

膣壁では、膀胱の間 (TVM-A手術)にすきまを作って、メッシュを膣壁の下におきます。

膀胱瘤単独の場合、行うことが多いです。

TVM-P手術(膣と直腸との間)「直腸瘤」の場合

膣壁では、直腸との間(TVM-P手術)にすきまを作って、メッシュを膣壁の下におきます。

直腸瘤単独の場合、行うことが多いです。

TOT手術「腹圧性 尿失禁」を合併の場合

TOT手術
引用:秋田大学大学院医学系研究科 腎泌尿器科学講座様
http://www.med.akita-u.ac.jp/
~hinyoki/general/diseasetreatment/pop.html

腹圧性 尿失禁(笑った時やいきんだ時に尿がもれる)を合併している場合には、メッシュで尿道を支える手術(TOT手術)も同時に行うことがあります。

タイトルとURLをコピーしました