子宮脱 手術後の「後遺症」は?

子宮脱 手術後の「後遺症」は?

後遺症という表現は正しくないですが、子宮脱によって子宮を全摘した場合は、「妊娠できなくなる」「生理がなくなる」のは確実にいえます。

子宮脱の手術の中でも、最もメジャーなメッシュ手術(TVM手術)の後の後遺症=合併症についてまとめてみました。

子宮脱 メッシュ手術(TVM手術)後の後遺症=合併症まとめ

出血

メッシュを固定させる時に、骨盤の裏側を通る血管から出血するケース。皮下出血として手術創の周辺に見られる場合があります。

疼痛(とうつう)=痛み

左右の大腿部(太もも)の内側・後壁も補強した場合は、殿部(おしり)にまた手術の姿勢による股関節の痛みが起こるケースがあります。通常は、手術後、数週間で消失

膣部びらん

手術後3~6ヵ月後腟壁の手術創に、びらんが起こるケース。

当初、約5%から10%とされていましたが、最近は減少して1%前後に。メッシュが腟壁から露出することも。感染症が起こった場合には、メッシュを摘除する必要があります

膀胱側へのメッシュ露出

手術で、膀胱と腟壁の間に設置したメッシュが、膀胱のごく近い層に設置された場合に、膀胱内にメッシュの一部が露出してしまうことがあります。もともと腟壁が薄く、弱くなっているために起こる合併症。

メッシュを摘除しなければならない場合も有り。

2種類の尿漏れ

尿失禁ともいいます。せきや、くしゃみで、尿が漏れる状態(腹圧性の尿失禁)。膀胱脱の排尿障害のためにかくれていることがあります。この場合臓器脱を修復すると、腹圧性の尿失禁が出現することがあります。

 

尿漏れ(尿失禁)のタイプには、2つあります。

腹圧性 尿失禁(お腹の圧によるもの)」と「切迫性 尿失禁(急に発生するもの)」があります。

腹圧性 尿失禁は、おなかに「グッ」と圧力がかかったとき、膀胱に溜まった尿をがまんできなくなってもれてしまうもの。 尿意とは関係なく起こる。 原因は、妊娠や出産、加齢などで骨盤底の筋肉がゆるみなど。

切迫性 尿失禁は、本来は脳からの指令排尿はコントロールされていますが、脳血管障害などにより、そのコントロールがうまくいかなくなった時や、特に原因がないのに膀胱が勝手に収縮してしまい起こります。

 

腹圧性 尿失禁(お腹の圧によるもの)」と「切迫性 尿失禁(急に発生するもの)」について、TVM手術前後に、次の変化が観察される。

手術前に「腹圧性」尿失禁があった患者さんの4人に1人は、TVM手術後にその尿失禁は「消失」。

手術前に、「腹圧性」尿失禁のなかった患者さんの4人に1人は、TVM手術後に「腹圧性」尿失禁が「出現」。

手術前に「切迫性」尿失禁があった患者さんの3分の2は、TVM手術後に尿失禁が「消失」。

手術前に「切迫性」尿失禁がなかった患者さんの100人中8人に、TVM手術後に「切迫性」尿失禁が「出現」。

つまり、「腹圧性」尿失禁は、TVM手術を受けた後で手術を受けることで、治る人と逆になかったのに尿漏れが発生する人がでてくるということです。

それに比べて、「切迫性」尿失禁は、TVM手術によって治る可能性が高いといえます。

膀胱・直腸・周囲臓器損傷

膣粘膜を切開したり、剥離操作(はがす行為)の際に癒着など影響が強い場合などに膀胱や直腸や周囲臓器を損傷する可能性があるようです。

 

子宮を摘出する従来法による脱の手術の場合には、約10数%おこるといわれています。手術後日数が経過して判明する場合もあり。直腸の損傷が後日判明した場合には外科での対応となり、そのさい人工肛門を造設される場合もあるとのこと。

遅発性の痛み

メッシュの周囲で、過剰な収縮が生じると、そのために組織のひきつれをおこして、臀部の違和感痛みなどを生じる場合があるといわれています。

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